「離婚したいわけじゃない。でも、このままもつらい」そんな相談から始まることがあります
「離婚したいんです」
行政書士への離婚相談というと、そんな言葉から始まるイメージがあるかもしれません。
でも実際には、
「離婚するかどうか、まだ決められないんです」
「できれば離婚したくない気持ちもあります」
「でも、このまま一緒にいるのもつらくて……」
そんなところから、お話が始まることもあります。
私は、これはとても自然なことだと思っています。
「離婚する・しない」の二択では割り切れない
長い時間を一緒に過ごしてきた相手です。
つらいことがあったからといって、それまでの時間がすべて消えるわけではありません。
楽しかったこともある。
優しかった頃も知っている。
家族として過ごしてきた時間もある。
子どものこと、生活のこと、お金のこと。
これから先の不安もあります。
だから、
「もう無理」
と思った翌日に、
「でも、私がもう少し頑張れば……」
と思うことだってあります。
気持ちが揺れるのは、決して珍しいことではありません。
「私が悪いのでしょうか」と聞かれることがあります
ご相談をお受けしていると、
「私の考えすぎでしょうか」
「私が我慢できないだけでしょうか」
「もっと上手に接していれば、こうならなかったのでしょうか」
と、ご自身を責めている方に出会うことがあります。
相手と話し合おうとしても話が進まない。
大切な話になると避けられてしまう。
こちらが気持ちを伝えると、なぜか自分のほうが悪いような気持ちになってしまう。
そんなことが何度も続いているうちに、
「私の伝え方が悪いのかな」
と思うようになってしまうこともあります。
でも、夫婦の問題は一つの出来事だけを切り取って、
「どちらが悪い」
と簡単に整理できるものばかりではありません。
まずは、今まで何があったのか。
そして、自分は何に傷つき、何に困っているのか。
そこを一つずつ整理していくことが大切だと感じています。
気持ちが決まっていなくても、整理できることはあります
「離婚すると決めてから相談しないといけませんか?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、離婚協議書や公正証書など具体的な書類を作成する段階では、夫婦間で決めなければならないことがあります。
養育費。
財産分与。
慰謝料。
面会交流。
年金分割。
住まいのこと。
子どものこと。
ですが、その前に、
「私はこれから、どうしたいんだろう」
を整理する時間が必要な方もいらっしゃいます。
離婚する。
離婚しない。
すぐには決めない。
一旦距離を置いて考える。
選択肢は一つではありません。
書類を作る「前」の時間も大切にしたい
私は行政書士ですので、最終的な仕事は法律に関する書類を整えることです。
離婚協議書を作ったり、公正証書にするための原案を整えたり。
決まったことを、後々のトラブルをできるだけ防げる形にしていきます。
でも、その書類の向こうには、一人の方の生活があります。
だから私は、
「で、離婚するんですか?しないんですか?」
と結論だけを急ぐのではなく、
今どんな状況なのか。
何が一番つらいのか。
これからどうなれば少し安心できるのか。
そんなお話も大切にしたいと思っています。
話しているうちに、
「私、離婚したいというより、この状態から抜け出したかったんですね」
と気づかれることもあるかもしれません。
反対に、
「ずっと迷っていたけれど、私はやっぱり新しい生活に進みたい」
と、ご自身の気持ちが見えてくることもあるでしょう。
人生の転機だからこそ、急いで答えを出さなくてもいい
離婚は、単なる手続きではありません。
住む場所が変わることもあります。
家族の形が変わることもあります。
お金のことも、子どものことも、その先の生活も関わってきます。
だからこそ、迷って当然だと思います。
「離婚したいわけじゃない。
でも、このままもつらい。」
もし今、そんな場所に立っているのなら、
まずは自分の気持ちと、現実に起きていることを分けて整理してみる。
そこからでもいいのではないでしょうか。
書類を作ることだけではなく、
その「前」にある迷いや不安も含めて。
人生の転機にいる方が、次の一歩を考えるためのお手伝いができればと思っています。

