「もう離婚することは決めたから、とりあえず離婚届を出そう」
そう思う方もいらっしゃると思います。
離婚について何度も話し合って、考えて、悩んで。
もう疲れた。
とにかく早く終わらせたい。
……分かります。
離婚届という紙を出せば、ひとまず「離婚」という大きな手続きが終わるような気がしますよね。
でも、行政書士として離婚のご相談をお受けしていると、
「離婚届を出す前に、ここだけは決めておいたほうがよかったかもしれません」
ということがあります。
今回は、離婚前に整理しておきたいことを5つご紹介します。
1.養育費の金額と支払方法
お子さんがいる場合、まず考えておきたいのが養育費です。
「毎月○万円払う」
ここまでは話し合っていても、
- いつから、いつまで払うのか
- 毎月何日に払うのか
- どの口座に振り込むのか
- 進学などで大きなお金が必要になったときはどうするのか
など、意外と決めることがあります。
話し合っているときには、
「そこまで細かく決めなくても大丈夫じゃない?」
と思うかもしれません。
でも、数年後にはお互いの生活も変わります。
今は分かり合えているから大丈夫、だけではなく、将来の自分たちが困らないために決めておく。
そんな視点も大切です。
2.財産分与
預貯金、車、不動産、保険など、結婚生活の中で形成した財産についても整理しておきます。
ここでありがちなのが、
「だいたい半分くらいかな」
で話が終わっているケース。
……「だいたい」は、なかなかの曲者です。
いざ分ける段階になると、
「その預金も入ると思っていた」
「車はそっちがもらうと思っていた」
など、お互いの認識が違っていたことが分かる場合があります。
何を対象にして、誰が何を取得するのか。
できるだけ具体的にしておくと安心です。
3.子どもと離れて暮らす親との交流
子どもと離れて暮らす親との交流についても、
「いつでも会っていいよ」
だけではなく、ある程度のルールを考えておくことがあります。
たとえば、
月に何回程度にするのか。
連絡はどのように取るのか。
学校行事はどうするのか。
長期休暇のときはどうするのか。
もちろん、お子さんの年齢や状況によっても変わります。
最初から何年先まですべて完璧に決める必要はありません。
むしろ、子どもの成長に合わせて見直すことを前提にする方法もあります。
大人同士の都合だけではなく、お子さんにとってどうするのがよいか。
ここは丁寧に考えたいところです。
4.家や住宅ローンをどうするか
持ち家がある場合は、少し話が複雑になります。
誰が住み続けるのか。
家の名義は誰なのか。
住宅ローンは誰が払うのか。
売却するのか。
そして、
家の名義と住宅ローンの名義は、別の問題です。
「夫が出ていって、妻と子どもがそのまま住む」
という話になったとしても、それだけですべて解決するとは限りません。
不動産や住宅ローンが絡む場合には、金融機関や必要に応じた専門家への確認も含め、早めに整理しておくことをおすすめします。
5.その約束、「口約束」のままで大丈夫?
ここが、行政書士として特にお伝えしたいところです。
話し合いがまとまったときは、
「ちゃんと話したから大丈夫」
と思うかもしれません。
でも、離婚後に生活環境が変わったり、新しい家族ができたりすると、当時と同じ気持ちのままとは限りません。
「あのとき、そういう意味で言ったんじゃない」
「そんな約束はしていない」
となることもあります。
そこで、合意した内容を離婚協議書として残しておく方法があります。
また、養育費など将来にわたって金銭の支払いが続く場合には、内容によっては公正証書にしておくことも検討できます。
「全部決めてから相談しないと」は必要ありません
ここまで読んで、
「えっ、こんなに決めることがあるの?」
と思った方もいるかもしれません。
大丈夫です。
最初から全部きれいに整理できている方ばかりではありません。
むしろ、
「何を決めたらいいのか分からない」
「相手とはここまで話しているけれど、これで十分なのか分からない」
という段階でご相談いただくこともあります。
離婚は、ただ離婚届を提出するだけではなく、
これからの生活をどうしていくかを整理する作業でもあります。
だからこそ、急いで答えを出す前に、一度立ち止まって確認してみてください。
「離婚したあと、私はどう暮らしていきたいだろう?」
その答えから逆算すると、
今、話し合っておいたほうがいいことが見えてくることがあります。
本園行政書士事務所では、離婚協議書や公正証書原案の作成など、離婚に伴う書面作成のご相談を承っています。
「まだ話が完全にまとまっていないのですが……」
という段階でも、まずは現在の状況を整理するところからお話を伺っています。

